・初日にDolbyCinemaで観てちょっと飲み込み切れなかったので、2日目にIMAXで観てきました。
・なんとか初日の白昼夢という印象から、明晰夢ぐらいには落とし込めた気がします。
・なお自分は基本的にはジブリの宮崎駿監督アニメ大好きっ子です。
・好きなのを敢えて3本に絞れば、もののけ姫、紅の豚、となりのトトロになります。
・以下はネタバレしてます。事前情報なしで観て良かったと自分では思うので、あまりネタを割らずに観ることをお勧めします。
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・本作は宮崎駿監督のエッセンスがあまりにも濃かったです。
・コントロールしてこうなのか、コントロールしなかったのかはわかりませんが、エンターテイメントとしてのおさまりの良さはあまり興味がないのでしょう。
・疎開先の田舎でおかしな塔に足を踏み入れて幻想世界へと旅立つ――オーソドックスな導入なのですが、初回視聴時は本当にファンタジーな世界に案内されたのか心配になりました。
・この作品がファンタジーと知れた2回目からはある意味安心して浸れたのですが、情報がない時には最後の最後で夢を見させてくれないのではないかと勘繰ってしまったのです。
・ただそのファンタジーも無邪気に楽しませてくれません。
・生へ向かって登っていく魂的な存在に癒されるのですがそれぐらいで、乏しいリソースの食い合いでしかないことをあっさりと暴露されます。
・足を踏み入れた想像された夢のような世界は既に――あるいは最初から――崩壊していき楽園であることやめようとしていたのです。
・イマジネーションの持ち主は老い、生み出された世界は崩壊しかかっている。君が新しく現実より美しい世界を作れ――
・現実離れしようとする輪廻もまた美しい夢なのですが、老いたものも託されようとしたものも宮崎駿監督の影であるのが凄すぎました。
・君を産むのって素晴らしいね――と自分を産む存在に抱かれた後に現実に帰るのもあまりにも見事な自己承認です。
・夢を見続けず現実を生きていきますと言って、人が燃える現実に帰るのかと煽った上で、疎開し続けてから戦後の現実に戻るというラストに敢えて至ったのは凄い。そこにエクスキューズは必要ないし、そういうものなのだと出せるようになった心境に至ったのでしょう。
・アニメとしてはどのシーンもとんでもなくレベル高かったです。
・ただこのシーンが凄まじいと推せるのが無かったのも確かです。
・好きなシーンはちょこちょこあるのですが、気持ち良く魂消ることは残念ながら出来ませんでした。
・でかい魚を釣ったシーンとかさばくシーンとか、新たな生を得るために浮かび上がるシーンとか、悪くないし良いんですが、もっとこう素晴らしく魅せてくれられたんじゃないかなと思ってしまいます。
・イマジネーションの終わりそのものを見事に魅せて欲しかったのは贅沢を言い過ぎでしょうかね。
・それが次の人の役目であり、その次を他者にしなかったのであれば、もう一度新作を――
・落穂拾い
・キリコの過去がイケメンで吹きました。
・アオサギはいいキャラでしたね。「いずれ忘れるだろうけど、忘れてもそれで良い、じゃあな友達」はぐっときました。
・インコ大王をバックボーン説明なしで出してくるのは余人には出来ないワザマエでした。
・米津玄師さん、今回も素晴らしい仕事をされました。シン・ウルトラマンの主題歌・FF16の主題歌と良い、作品のエッセンスの昇華が神がかっていますね。