シン・ウルトラマン 雑感

・公開初日レイトショーで観て来ました。

 ・なおウルトラマン自体にはそこまで思い入れのないにわかです。

 

・1クールを総集編にしたような説明不足や駆け足はありましたが、こういう画を観たいんでしょいう映像をかなりの密度で見せてくれたのでトータルで言えば満足のいく作品でした。

 

・シンゴジのタイトルがシンマンへと移行する本歌取り。そして前日譚を観たくなるような、禍特対が禍威獣を現代の技術だけで数匹倒したのをナレだけで流す冒頭でつかみはOK。

・周囲と親和のない違和感ばりばりでありながら美しいウルトラマンの造形は良く、飛行ポーズや棒立ちの立ち方のようにヒトガタが取る姿勢とは思えない挙動もらしさ全開でした。

・外星人はザラブでうさんくささを漂わせた上で天井で被せてきたメフィラスが100点満点中1兆点。山本耕史が嵌り役過ぎて、キャスティング大勝利。このシンマンを好きになった人はメフィラスに関して一家言あるに間違いなし。メフィラスが出てくるシーンだけ延々と観ていたい。

ゼットンじゃないけどゼットンだというラスボスの造形はやり過ぎでしたが、やり過ぎなのが好きなのでOK。

・ラスボス戦前にオリジンの変身シーンを使うのは、これまたお約束ですがにやにやしました。そういうのは脆弱性があるので出された時点でもう駄目です。

 

・パンフレットではエピソードを上手くつなぎ合わせれたと言っていますが、それぞれのエピソード後の余韻がなくてやはりせわしないです。

・線路とか会議とか庵野さん的なカメラワークやシーンは多々あったのですが、シンゴジに比べてパンチが弱く、見せ方のセンスも今一つでした。こういう不調の時もあるかなという具合。

 

・問題点として人間のキャラ付けの多くは失敗していました。

・特に浅見弘子は大失敗という感じ。ワーカホリックで家に帰れず風呂にもあまり入らないずぼらさ、気合を入れるときに尻を叩く(しかも自分だけでなく周囲の尻も叩く)癖があばたもえくぼに見せるには尺が足りなかったかと。それに神永とのバディ感も全然生み出せてませんでした。バディとは思えないを繰り返して、実はバディらしい絆を育てていた――というのはお約束の展開ではあるのですが、本作内では流石に間に合わず、いつの間にそんな信頼感を築き上げたのだろう実感湧きませんでした。ラストバトルに送り出すシーンでキスシーンも撮ったけど実際には使わなかったとありますが、そんなシーンがあると余計茶番らしさが強くなった気がするので使わなくて正解だったかなと思います。

・浅見弘子のフェチ的な視線が気持ち悪いと言われると返す言葉はありません。巨大化するのは置いておいて、その他に関して必要があったかと言うとありませんし他にやりようはありました。繰り返しになりますが、作品の特徴とするにはもっと尺をかけた方が受け入れやすかったんじゃないですかね。

・ただ説明不足が偶々良い点に働いたのは神永についてですかね。ウルトラマンが主人格になって奇行をするようになってからも直属の上司を筆頭に同僚含めそんなやつだったと反応されているのが笑いどころ。入れ替わる前でいきなり子供を救いに走りに行くのだけでもほの見えるのですが、入れ替わり前の神永のひととなりが気になってしょうがありませんでした。

 

・落穂拾い

 ・神永の有能過ぎる元同僚は妙な存在感がありました。

 ・シンゴジの直接的な続編ではないでしょうが、竹野内豊を使った目くばせはお遊びとして楽しみました。

 ・人類にはまだ早い方程式を解くために滝のVR会議とホワイトボードに式を書きまくるくだりは、やりたかったことはわかりますが魅せ方は上手くいっていませんでしたね。シンゴジの折り紙を使った絵での見せ方良かったのになぜ本作はあんなんになってしまったのか・・・

 

・以上、映画一本としての面白さはともかくとして、観て良かったです、本当に。メフィラスのためにもまた劇場に見に行きたいですね。