陰陽師0 感想

 ・公開初日にレイトショーで観てきました。

   ・夢枕獏の小説は大好きですので。

   ・事前情報をほとんど集めていなかったので入場したら特典でCLAMPの絵を渡されて驚きました。

 

・お金と人をかけた特撮B級スペクタクルでした。

   ・原作の空気とはまあまあ違いますが、そういうのを楽しむ姿勢で観たらいけました。

   ・竜がばんばん出て、呪文唱えて、よくわからない陰陽師学校をよくわからないガジェットと古書で埋めて、ヒロインは空気に合わせてですが花で彩りまくると、画面をエフェクトと色彩で煌びやかにして平安ファンタジーをやりきったのは好感度が持てます。

   ・画面に映すのは真実だけども非現実的な現象が事実かどうかの描写の線引きをあいまいにする手つきは、作中の陰陽師の理と合わせて上手く働いていたと思います。

 

・それで面白いかどうかだと人それぞれの真実じゃないでしょうか・・・

   ・エピソード0で若かりし頃とは言え、両親が殺されて泣く夢枕獏陰陽師安倍晴明ははちゃめちゃに解釈違いかな・・・

 

  

劇場版『名探偵コナン100万ドルの五稜星』 雑感

・去年と同じく公開初日にレイトショーで観てきました。

  ・やはりめっさ混んでいました。流石コナンですね。

 

・いいお祭りの劇場版でした。

   ・刀と暗号を巡るバトルロイヤル、土方歳三の失われた刀の謎といったミステリ要素。

   ・平次と和葉のラブコメ、キッドの因縁、コナンとそれと探偵団の活躍といったキャラクタ要素。

      ・キッドのあれ(があれ(あれと兄弟)って初出ですよね?? お遊び要素にしてはわりとワールド的に重要でびっくりしました。

   ・派手な殺陣と、五稜郭や函館の夜景といった北海道の美しい画といった映像。

  ・いろいろなものをきっちりと魅せてくれました。2時間しっかりと楽しませてもらいましたね。

 

・あえてマイナスを言うなら、爆発と破壊が足りなかったですね。

   ・こう、五稜郭が爆破されるとか、函館山が爆発するとかを・・・

オッペンハイマー 感想

・ノーラン作品大好きっ子なので公開翌日にIMAXで観てきました。

 

・素晴らしい作品でした。

・題名通りオッペンハイマーの伝記映画で、ノリは心理サスペンス。

  ・オッペンハイマーの栄光と没落が3つのパートで展開されます。

    ・原爆を開発していくパート。

    ・アカ狩りで告発されて原爆の開発を振り返るパート。

    ・オッペンハイマーと対立した投資家が商務長官に相応しいかの公聴会パート。

 ・多面的にオッペンハイマーはどういう人物なのか、何を考えているのか描写されます。

  ・誰も作ったことがなかった原爆を開発する約束された栄光。

   ・本当にきちんと爆発するのかという最後の実験のカタルシスに向けて、当時の優秀な物理学者を扇動し、荒野に街を作り上げていく世界有数のプロジェクトを目の当たりにする興奮。

   ・未曽有の大量殺戮兵器を開発して世に出してしまった代表者としての毀誉。

     ・同世代的に開発しながら自覚し、戦況からもう開発しなくてもいいのではないかという指摘をどう踏み込えていくのか。

     ・実際の使用を指示するのは政治家で、実際使用した結果敵国の知らぬ人間が数多が死んだことを民衆は喜ぶ。そこに開発者がどうかかわり、どう振る舞うのか。

     ・あるいは原爆の死者の写真を直視できず、一人の恋人の死に大いに動揺するその人間たる姿をどう評価するのか。

   ・敵国のソ連への親和性があったのか、なかったのか、スパイを働いたのか、働かなかったのか。

   ・より破壊力がある水爆を当時開発に反対したのはアメリカの足を引っ張る意図があったのか、それ以外の何かか。それは倫理感か。

   ・彼の持つ倫理とは。

     ・焼き尽くす炎を生み出した理性に対して、それは人倫にもとる善きものなのか。

     ・当時の計算と計算ミスから出た大量殺戮以上に恐るべき可能性――一度燃え出したら止まらないかもしれない可能性がおそらくゼロだが、完全にゼロではなく、ニアゼロなのを許容したその倫理が本当に善きものなのか。

   ・そして内面をアメリカへの忠誠心と親ソ連かどうかの政治的で判断された彼の倫理感に対する裁きは正しかったのかの再評価。

     ・凡俗たる投資家から見たオッペンハイマー――彼は裁かれたがっていたから裁いてやった――は正しいのか。

 

・最初から最後まで今繰り広げられているシーンの意味を考え抜かさせて、息をつく暇がありませんでした。時間のシャッフルの熟練した手つきはそのままに、アクションやアトラクションではないサスペンスをこうも練り上げられるとは流石の一言。

 

 

 

・最後に。フローレンス・ビューが非常に存在感あり、美しく、眼福でした。

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前編 感想

・公開翌週まで知らなかったのですが、宣伝が偶々目に止まって百合SFかなと気になって観てきました。

  ・原作は未読です。

 

・感想は、変な作品だったな、となります。

  ・未確認飛行物体が空を漂い、撃墜のため米軍が撃った兵器によって汚染された東京が舞台。その日の東京の予報で飛行物体の進路で影になる地域と汚染濃度が発表されて1日が始まる。地球が終わるかのようなでっかいものが空を覆いながら日常が続いていく独特な閉塞した空気の中、5人組のJKたちの日常で映画は幕を開けます。

    ・惚れた腫れたとか、進路で悩むとか、レストランでだべるとか、夜にFPSやるとか。

  ・そこからあらぬ不穏な方向へとドライブしていきます。

   ・日常の裏で実は未確認飛行物体から宇宙人が何度も何人も来訪していて、その上密かに軍が処理している――のはそんなものだろうと受容出来ますし、なんか嫌な浸透を横目で見て侵略SFとして不気味でいいなあと思ってさえいたのですが、メインキャラクタの過去になってから????となりました。

   ・ドラえもんオマージュの作品内作品を出した上で、どうしてそうなるのということが起き続けます。

  ・そして前編ラストでこれからどうなるか――人類滅亡――ばーんと予告されます。それは本来驚きなのですが、それまでの出来事と今目の前の絵面――落ち続ける人影――を見ていると変な実感と言うかそらそうなるしいかないだろうなあという妙な納得が生まれていました。

    ・うーん、かえすがえす特に後半は変と言い続けちゃいますね。

 

・まとめるとセカイ系×侵略ミリタリーSF×重めの百合×暗黒ドラえもん、みたいな。

  ・どうオチつけるか楽しみなので、5月の後編を心待ちにしています。

    ・それと観終わってから原作読んでみようかなと思っています。

映画ドラえもん のび太の地球交響楽 雑感

・新ドラ劇場版は毎回見ているわけではありません。今回はたまたま時間があったから観てきました。

  ・やはり子供連れの多いこと。現役の子供がドラえもんを好きであればうれしいですね。

 

・内容は今一つでした。

 ・音楽を奏でるという単純で奥深いテーマを取り上げられたのは良いのですが、料理しきれなかったかなという感じです。

  ・ストーリーと設定ががばがばで乗り切れませんでした。

    ・伏線回収は別に前にちょっと出したものを単純に後で使うだけじゃないよね・・・。

    ・ワークナーの工場でジャイアンスネ夫が酷い目にあったシーンが後に繋がってないんじゃないかなとか、夜の学校に集まるシーンの抜け出す感がないのは如何にとか。

  ・音楽が楽器で奏でるメロディーだけではなく、生きていて出すおとである――というのはいいのですが、なら音楽が止まった日って厳密に考えるとなんぞやってなってしまって・・・

 

・でも壁画といった歴史上のものが演奏する映像で人類史で延々と続いてきた音楽をあらわすOPは良かったですし、EDも良かったと思うので、初めと終わり良しでそこまで観て残念とはなりませんでした。

デューン 砂の惑星 PART2 感想

DOLBY CINEMAで観てきました。

 ・画と音の圧が強かったのでリッチな環境で観て正解でした。

 

砂の惑星を映した画。

  ・同じ様相を見せない砂漠と、生きるものとしてはサンドワームが最大にして最強の異様な環境相と、剣と軍艦とそしてミサイルとミクロとマクロで武骨な武器の数々。

  ・白と黒の光線のコントラストが強い色彩。

  ・決まっている構図の数々。

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   ・このCM冒頭にあるような爆発を背景にたなびくマントと背中を魅せるとか、ありとあらゆるものと人とを使って丁寧に気持ちよく格好良い場面を惜しみなく最初から最後まで出してくれます。

 

・音の圧。

 ・BGMの強い鳴らし方は相変わらずのもの。

 ・なんども繰り返されるサンドワームを呼ぶ音と振動が生命の鼓動となっているように、環境音の使い方も見事。

 

・結果として良い画が良い音で満たされるという幸せなものを享受出来続けました。

 ・逆に逃げ場がないので疲れる感じもあったりなかったりしますが。

 

・シナリオ。

  ・ストレートに神話的な貴種流離譚

  ・策謀が繰り広げられながら人と国が興亡していくダイナミズムがあり、その底には流れは結局は予言と運命のままだいう無常さが漂っています。

  ・あとは未来でテクノロジーが発達した先で、決闘とか物理的な剣とか騎士が活躍する余地があるいにしえのロマンチシズムで味付けられています。

  ・これはこれで味があって良く、好きか嫌いかで言えば大好きです。

 

・パート3も脚本作成中とのことで楽しみにしています。

葬送のフリーレン 25話 雑感

・二次試験でフリーレンの鏡像を倒す方法を模索するエピソードが続いています。

 ・フェルンが私なら殺せる――と言い、嬉しそうにフリーレンが応える。

   ・それがフリーレンの、そしてエルフたちがかつて思い描いた未来だったのだから――というのがこの回の話。

 

・後半でフランメが死んだことを告げに来たフリーレンとゼーリエとが会話する遠い過去が流れます。

 ・ゼーリエがフランメのことを、人類の魔法の開祖がかつて幼い子供のときに何を願っていたのかを回想します。

   ・原作でも良かったのですが、声――これまでも何度かあり、これからも繰り返される失ったものとときを舌にのせるエルフの乾いたトーンと、動き――フランメがかつてどうふるまったか、が重なることで非常に印象的になっていました。

     ・派手な魔法合戦も艶やかで良いのですが、こういうのもまたアニメ化されて良かったなあと思う要素ですね。